クローン病肛門病変について
クローン病肛門病変の特徴
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クローン病肛門病変の特徴
痔瘻は瘻管の走行する解剖学的部位によって分類され、国内では隅越分類(図1)1)やParks分類(図2)2,3)がよく用いられています。
通常の痔瘻とクローン病に合併する痔瘻では、表に示すような違いがあります4)。
通常の痔瘻は肛門陰窩(anal crypt)から侵入した細菌が肛門腺に感染し、直腸肛門周囲に膿瘍を形成するcryptoglandular infectionと呼ばれる感染から生じます。それに対し、クローン病に合併する痔瘻の多くは裂肛や直腸肛門部の潰瘍に感染を併発することによって生じます。そのため、瘻管の走行が複雑となり、また多発性であるという特徴があります。また、前壁に好発し、肛門から離れた位置に二次口が存在することも多く、炎症の長期化によって直腸肛門部の狭窄や閉塞を来すことがあります。さらに、通常の痔瘻は低位筋間痔瘻が2/3と最も多いのに対し、クローン病に合併する痔瘻では複雑低位筋間痔瘻や坐骨直腸窩痔瘻が多くなっています。
図1.隅越分類
隅越幸男 他.: 日本大腸肛門会誌. 1972; 25: 177-184.
図2.Parks分類
Parks AG, et al.: Br J Surg. 1976; 63(1): 1-12.
Sandborn WJ, et al.: Gastroenterology. 2003; 125(5): 1508-1530.
表.通常の痔瘻とクローン病の痔瘻の相違
クローン病の痔瘻は、瘻管が太く、複雑であり、多発する傾向があります。
吉川周作 他: 手術. 2018; 72: 1391-1399.
1)隅越幸男 他.: 日本大腸肛門会誌. 1972; 25: 177-184.
2)Parks AG, et al.: Br J Surg. 1976; 63(1): 1-12.
3)Sandborn WJ, et al.: Gastroenterology. 2003; 125(5): 1508-1530.
4)吉川周作 他: 手術. 2018; 72: 1391-1399.