製品情報(ドラッグインフォメーション)
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製品情報(ドラッグインフォメーション)
「再使用禁止、警告、禁忌・禁止を含む注意事項等情報」の改訂に十分ご留意ください。
再使用禁止
本品は、健康成人の皮下脂肪組織由来の細胞を原料とし、原料となった皮下脂肪組織を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施するとともに、製造工程においてウイルス検査を実施し、感染症の伝播を防止するための安全対策を講じているが、原料に由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することはできない。また、スペインで採取された皮下脂肪組織を原料としていることから、本品の使用による伝達性海綿状脳症(TSE)伝播のリスクは理論的に極めて低いと考えられるものの、完全には否定できない。これらのリスクを考慮し、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめること(【使用上の注意】の項参照)。
警告
【警告】
1. 関連学会の定める適正使用指針を遵守し、クローン病に伴う複雑痔瘻に関する十分な知識・経験を持つ医師が、本品の使用方法に関する技能や手技に伴う合併症等の知識を十分に習得した上で、クローン病に伴う複雑痔瘻の治療に関する体制が整った医療機関において本品が適切と判断される症例についてのみ投与すること。[適正使用を確保するため。]
2. 無菌試験及びマイコプラズマ否定試験の結果が不適合であったとの連絡を受けた場合は、本品の投与を中止すること。投与後の場合は、投与部位及び患者の健康状態を確認した上で適切な処置を行うこと。[無菌試験及びマイコプラズマ否定試験の結果は出荷後に得られる。]
禁忌・禁止
【禁忌・禁止】
1. 再使用禁止[1回量として全量を投与する。]
2. 本品の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
形状、構造、成分、分量又は本質
1.成分
本品は4本のバイアルからなり、それぞれのバイアルに細胞懸濁液6mLを含む。バイアル4本(合計24mL)中に下記成分を含有する。
成分 | 含量 | 備考 | |
---|---|---|---|
構成細胞 | 増殖させた 脂肪組織由来 幹細胞 (eASC) |
120×106個 | ヒト皮下脂肪組織由来 間葉系幹細胞 採取国:スペイン |
副成分 | DMEM | 75(v/v)% | アミノ酸、ビタミン、無機塩類、 炭水化物を含む |
20%ヒト血清 アルブミン |
25(v/v)% | 採血国:米国 採血方法:非献血 |
本品の製造工程では、ウシ皮、骨(頭蓋骨及び脊柱を含まない)及び骨格筋由来のペプトン、ウシ乳由来のカゼイン、ウシ血液由来のウシ胎児血清、並びにブタ膵臓由来のトリプシンを使用している。また、ヒト血液由来の20%ヒト血清アルブミンの製造工程でブタ腸粘膜由来のヘパリンを使用している。
2.形状
本品は振とうにより容易に分散する沈殿物を含む白色~帯黄色の均一な懸濁液である。
効能、効果又は性能
非活動期又は軽症の活動期クローン病患者における複雑痔瘻の治療。ただし、少なくとも1つの既存治療薬による治療を行っても効果が不十分な場合に限る。
効能、効果又は性能に関連する使用上の注意
〈効能、効果又は性能に関連する使用上の注意〉
(1) 適用にあたっては、既存治療薬での治療の際に、ガイドライン等に従いシートン法等の適切な排膿処置が実施されたことを確認すること。
(2) 臨床試験に組み入れられた患者の背景(前治療歴、痔瘻の状態等)について、【臨床成績】の項の内容を熟知し、本品の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
用法及び用量又は使用方法
通常、成人にはヒト間葉系幹細胞として、1回量120×106個(4バイアル(24mL)全量)を、最大で原発口2つまで、二次口3つまでの瘻孔に対して、掻爬等の処置を行った後に投与する。
用法及び用量又は使用方法に関連する使用上の注意
〈用法及び用量又は使用方法に関連する使用上の注意〉
1. 本品の投与を予定する前の注意事項
本品の投与の2~3週間前までに麻酔下検査、MRI検査等により、以下を確認するとともに、原発口領域を特に注意しながら、すべての瘻孔を掻爬すること。また、抗菌薬を投与すること。
- 膿瘍腔の有無を確認すること。膿瘍腔がある場合は、本品の投与前までにシートン留置等の適切な排膿処置を行うこと。
- 原発口周辺の粘膜状態が非活動期又は軽症であること
- 痔瘻の解剖学的情報(瘻孔、原発口及び二次口の数)
- 括約筋及び他の骨盤筋に対する瘻孔の位置的情報
- 本品投与及び関連する処置への制限となりうる直腸狭窄、肛門狭窄、直腸炎、人工肛門、痔瘻癌等がないこと
2. 本品投与時の瘻孔の処置
本品の投与直前に以下に従い瘻孔の処置を実施すること。
(1) シートンを留置している場合は、シートンを抜去すること。
(2) 原発口の位置を特定するために、二次口から注入した生理食塩液が原発口に到達したことを確認すること。細胞の生存等に影響を与える可能性があるため、生理食塩液以外は注入しないこと。
(3) 原発口領域を特に注意しながら、すべての瘻孔を掻爬すること。
(4) 原発口を縫合して閉じること。
瘻孔の処置を実施後に、以下の手順に従い本品を投与すること。
3. 本品の投与前の調製
使用する針の太さは細胞の破砕を避けるため22ゲージ又はこれよりも太いものとすること。本品の投与にあたっては、フィルターは使用しないこと。
細胞懸濁液は他の薬剤と混ぜて使用しないこと。
外箱の使用期限を確認してから、使用直前に輸送用容器からバイアルをすべて取り出すこと。
(1) バイアルの底を静かにはじき、バイアル内の細胞濃度が均一になるよう懸濁すること。この時気泡が発生しないようにすること。懸濁後速やかに、バイアルを静かに逆さにし、針付きシリンジで細胞懸濁液をゆっくりと吸引すること。
(2) 投与箇所に届くように、必要に応じ適切な長さの針(90mm等)に付け替えること。
(3) 1バイアルの投与完了後に、残りの各バイアルに対して、(1)~(2)の手順を実施すること。
4. 本品の投与
全身麻酔又は区域麻酔下で病変内に投与すること。原発口周辺への投与に2バイアルを使用し、残り2バイアルを二次口側から各瘻孔の瘻管壁内への投与に使用すること。血管内投与を避けるために、針先を投与部位に挿入した後に、わずかに吸引を行うこと。
(1) 原発口周辺への投与:肛門から注射針を挿入し、以下のとおり原発口周辺の組織に複数の隆起を形成するように投与すること。
- 原発口が1つの場合、2バイアルを順番に投与すること。
- 原発口が2つの場合、2バイアルのうちの最初の1バイアルを1つ目の原発口周辺の組織に、残りの1バイアルを2つ目の原発口周辺の組織に投与すること。
(2) 瘻管壁内への投与:事前に確認した瘻孔の解剖学的及び位置的情報を基に、二次口から瘻管腔内に注射針を挿入し、以下のとおり瘻管壁表面に複数の隆起を形成するように投与すること。本品の漏れを防ぐために、瘻孔内腔には投与しないこと。
- 二次口が1つの場合、残りの2バイアルを順番に瘻管に沿って投与すること。
- 二次口が2つ又は3つの場合、残りの2バイアルを各瘻管で量が均等になるよう投与すること。
(3) 二次口周辺を軽く20~30秒間マッサージし、二次口に絆創膏を貼付すること。
(4) 使用後のバイアル、針付シリンジ及び残液等は各医療機関の手順に従って適切に廃棄すること。
(5) 本品を再投与した臨床成績は得られておらず、痔瘻の状態を十分に確認した上で、再投与の要否を慎重に判断すること。
使用上の注意
1. 使用注意(次の患者には慎重に適用すること)
薬物過敏症の既往歴のある患者又はアレルギー素因のある患者[原料として健康成人の皮下脂肪組織を、製造工程においてウシ及びブタ由来の原材料、ペニシリン及びストレプトマイシン、又はゲンタマイシンを使用し、また、副成分としてヒト血清アルブミンを含有している。]
2. 重要な基本的注意
(1) 本品の製造に際しては感染症の伝播を防止するための安全対策を実施しているものの、健康成人から採取された脂肪組織を原料としていること及び製造工程において生物由来原材料を用いていることに起因する感染症伝播のリスクを完全には排除することができないこと、並びにスペインで採取された脂肪組織を原料としていることに起因する伝達性海綿状脳症(TSE)伝播リスクは理論的に極めて低いと考えられるものの完全には否定できないことを、患者に対して説明し、同意を得て本品を使用するよう努めること。本品の投与後には感染症の臨床症状の確認等、観察を十分に行うこと。
- 本品の原料である脂肪組織の採取にあたっては、以下の適格性を確認している。
①健康状態、既往歴等に係る問診。
②サイトメガロウイルス、エプスタインバーウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1及び2、ヒトT細胞白血病ウイルス1型及び2型、パルボウイルスB19、SARS-CoV-2、ウエストナイルウイルス、ジカウイルス、マラリア原虫、トキソプラズマ、梅毒トレポネーマ、トリパノソーマが陰性であること。 - 製造工程において、ウイルス検査、無菌試験、マイコプラズマ否定試験、エンドトキシン試験及び微生物汚染確認を行っている。
(2) 間葉系幹細胞は様々な組織への分化能を有することから、異所性組織形成があらわれる可能性が理論的に否定できないため、投与が適切と判断される患者にのみに投与すること。
3. 不具合・副作用
国内第III相臨床試験において、本品が投与された22例中2例(9.1%)に副作用が認められた。報告された副作用はクローン病(症状の悪化)、下痢及び血中ビリルビン増加が各1例(4.5%)であった。
また、海外第III相臨床試験において、本品が投与された103例中21例(20.4%)に52週後までの間に臨床検査値の異常を含む副作用が認められた。主な副作用は、肛門膿瘍8例(7.8%)、肛門周囲痛5例(4.9%)であった。
(承認時)
その他の不具合・副作用
1~10%未満 | |
---|---|
感染症 | 肛門膿瘍 |
消化器 | 肛門周囲痛、痔瘻 |
4. 妊婦、産婦、授乳婦及び小児等への適用
(1) 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(2) 授乳中の女性に投与する場合には、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
(3) 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
5. その他の注意
本品とは異なる間葉系幹細胞を大腸がん細胞とともにマウスに皮下投与した場合に、間葉系幹細胞が分泌する炎症メディエーターが発がんに関与する可能性があるとの報告がある1)。
1)Tsai KS, et al.: Gastroenterology. 2011; 141(3): 1046-1056.
アロフィセル注電子添文に基づき作成
再使用禁止、警告、禁忌・禁止を含む注意事項等情報は
「電子添文」をご参照ください。