クローン病肛門病変について

外科的治療

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外科的治療

膿瘍期は切開排膿を行うことが基本です。Hughes分類のIncidental lesion(通常型病変)では瘻孔切除術が検討されることもありますが、手術創の治癒に時間がかかり、再発率も高いことから勧められません。ヨーロッパのガイドラインでも瘻孔開放術や切除術は便失禁のリスクが伴うことから極めて選択的に行うべきとされています。
Hughes分類のsecondary lesion(続発性難治性病変)や膿瘍が広範囲にあり、一定の深さがある肛門病変ではシートン法によるドレナージが有効です。シートン法にはtight seton(cutting seton)とloose seton(drainage seton)がありますが、ドレナージを目的とする場合はdrainage setonが用いられます。 drainage setonでは、まず瘻管、膿瘍腔を掻爬し、一次口と二次口間、二次口と二次口間にシートンをゆるく挿入します。一次口が明らかでない場合は二次口間のみにシートンを挿入します(1)
痔瘻の病態が長期化している症例では癌の危険性を考慮し、定期的なサーベイランスを実施することが勧められます。サーベイランスは腰椎麻酔下検査や下部消化管内視鏡検査により行います。
直腸肛門部癌の合併やQOLの低下を来すような重症の肛門病変に対しては人工肛門造設を検討します。人工肛門造設には一時的人工肛門造設と永久的人工肛門造設(直腸切断術)があり、どちらを選択するかは背景を考慮し、患者との協議によって決定します。一時的人工肛門は肛門病変増悪のリスクから閉鎖が難しいケースが多く、クローン病の難治性肛門病変では、最終的に永久的人工肛門になる症例が多い点にも留意する必要があります。

図.Seton法
(drainage seton)

図.Seton法(drainage seton)

クローン病肛門部病変のすべて -診断から治療まで-(第二版)
「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(鈴木班)平成30年度分担研究報告書 別冊, 40-43, 2019.

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